よほど英語力がある人を除き、初めて読む洋書を何にするかは重要な問題です。なぜなら、難しすぎる本を選んでしまうと、途中で挫折する可能性が大きいからです。
もっと言うと、ネイティブにとって比較的易しい本でも挫折する人が多いと思います。
なぜそんなことが言えるかというと、平均的な日本人とネイティブスピーカーでは知っている単語の数がぜんぜん違うからです。5倍から10倍程度違うと考えていいと思います。
数字で比べてみよう
ネイティブが読んで分かる単語の数は2万語とも3万語とも言われます。一方で、日本の大学入試を受験する受験生が読んで分かる英単語の数は3,000語程度でしょう。多くても4,000語程度だと思います。
大学入学以降は英語力がそれほど伸びていないと仮定るすると、ネイティブスピーカーの2割程度の単語しか知らないことになります。これでネイティブと同じレベルの本を読むのは、はっきり行って不可能です。
平均的な日本人は大学入学後に英語を一生懸命勉強したりはしませんよね。ですから上の仮定は、それなりに現実に沿ったものだと思います。
上に挙げた単語数には、異論もあることでしょう。単語の数え方をどうするかというのは、学問的にも色々と難しい問題のようです。ただ、そうとうの差があることはご理解いただけると思います。
辞書を使えば読めなくは無いが
もちろん文法さえしっかり理解していれば、知らない単語があってもある程度は読めるでしょう。辞書を使えばかなりの部分で意味をとることは不可能ではありません。
でも、知らない単語が1ページに20も30もあった場合、全ての単語の意味を調べるのは不可能ですよね。となると、やはり、ネイティブが読むような本を読むことは難しいことだということになります。
英語を読みなれていないのも大きい
普通の洋書を読むのが難しいのには、もう一つ理由があります。平均的な日本人は、英語を読みなれていないからです。
英語を読みなれていない人が、突然数百ページの本を読めるわけがありませんよね。しかも、その本には知らない単語がいっぱいあるのです。
一般に英語の本は日本語の本よりもページ数が多いようです。ですから、それを読みきるには、かなり英語に慣れていないといけません。
易しい本を探すのが大事
そこで重要なのが、日本人でも読める易しい本を探すことです。
ページ数はあまり多くないほうが良いでしょう。あまり厚い本だと、途中で挫折する確率が高まります。せいぜい200ページくらいまでにしたいですね。
語彙のレベルも比較的低いものがいいはずです。辞書を引かなくても、文脈で推測ができる程度のレベルの本がお勧めです。知らない単語が多いと、絶対に挫折します。
最初の一冊は、以上のような方針で探してみましょう。
読みやすいお勧めのほんのご紹介
それでは、お勧めのほんのご紹介をしていきましょう。あまりたくさん挙げても仕方が無いので、ここでは2冊紹介することにします。
もちろん、このほかにも読みやすい本はたくさんあります。それらの本は別のページで紹介しています。
ちなみに、ここで紹介するのは、推理小説を一冊と、子供向けの小説を一冊です。どちらも任期の作品です。
大人向けの小説を読んでみたい人におすすめ
■ 邦題: オリエント急行殺人事件│ 原題: Murder on the Orient Express│ 著者: アガサ・クリスティ
易しい本という意味では、子供向けの本がおすすめです。しかし、子供向けの本はできれば避けたいという人もいらっしゃるでしょう。そういう方には、この本をお勧めします。
この本は、実際に日本語版を読まれた方もいらっしゃるでしょう。また、タイトルくらいはご存知の方も多いと思います。アガサ・クリスティの代表作です。
大人向けの小説として、この本をお勧めするのには5つ理由があります。ちょっと多いですね。
一つは、比較的ページ数が少ないという点です。クリスティの小説は長編でもそれほど長くはありません。ですから、はじめて読むには手ごろな分量だと思います。
二つ目の理由は、比較的語彙が易しいという点です。もちろん、ネイティブ向けの本ですから、私たちにとって易しいわけではありません。それでも、平均的な洋書の小説のレベルに比べれば、易しい語彙のように感じます。
三つ目の理由は、読みやすい文体で書かれているからです。いわゆる推理小説は、一文が短くなる傾向にあります。おそらく、その方が、文章にリズムが生まれるからでしょう。逆に、恋愛ものなどの場合、ごちゃごちゃした文体のものが多いような気がします。
四つ目の理由は、日本語のルビつきの本が出版されているからです。平均的な洋書小説に比べると易しいとは言え、やはり私たちには語彙の面で難しい本です。ルビつきの本なら、そんな問題もカバーすることが可能です。
5つ目の理由として、小説として面白いという点が挙げられます。クリスティの代表作ですから、楽しんで読むことができると思います。まあ、現代の推理小説を読みなれていると、荒唐無稽に感じる部分が無いわけではありませんけどね。
以上のような理由で、この本をお勧めします。
■ オリエント急行殺人事件 [英語版ルビ訳付] 講談社ルビー・ブックス
ルビつきなので、語彙力に自身が無い人でもストーリーを追うことは可能でしょう。もちろん、ある程度の文法知識や読解力は必要ですけどね。
子供向けの小説でもいいから易しいものをという方はこちら
■ 邦題: 穴│ 原題: Holes│ 著者: ルイス・サッカー
もっと易しいもが言い方には、子供向けの小説をお勧めします。子供向けの小説は、基本的にきれいな英文で書かれています。また、語彙の面ではかなり易しくなります。その意味で、そうとう読み安いはずです。
とはいえ、普通の日本人にはなかなか手ごわく感じるとは思いますけどね。ネイティブの小学生でも、日本人の大人と比べるとかなり語彙は多いですから。
ちなみに、Holes は映画化もされた作品です。出版から10年近く経っていますが、amazon.co.jp の洋書ランキングの上位の常連でもあります。英語学習者に愛された作品なのでしょうね。
児童小説には他にもお勧めの本がたくさんあります。これらについては、おいおいご紹介したいと思っています。
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