若手ビジネスパーソンが英会話学習にかけられる費用に関する調査がでていました。それによると、約9割が月額1万円以下しかかけられないと考えているようです。ちなみに、調査対象は25歳から35歳の調査です。男女比は大体2対1くらいですね。
サンプルが400と少ないので、どの程度正確かはわかりません。まあ、それでも、大体の傾向はつかめていると考えていいでしょう。
■ ビジネスマンが英会話学習にかけられる費用「1万円以下」が約9割(@DIME)
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私には当たり前の結果に見えました
記事の論調としては、この額がびっくりするほど小さい額だといいたいようです。でも、そうか?
個人的には、当たり前すぎて何の驚きもありませんでした。この結果にびっくりする記者にびっくりです。
そもそも、ビジネスパーソンが身につけるべきスキルの中で、英語の優先順位はどの程度高いのでしょう。外資系企業や英語に特に熱心な企業などの一部の企業に勤めてれば、それなりの優先順位なのだとは思います。でも、そうではない場合、英語の優先順位ってそれほど高くは無いですよね。
おそらく、それぞれの分野の専門知識を身につけるのが、最も重要でしょう。営業職だったら折衝のテクニックが最優先でしょうし、技術者だったら技術動向を知ることのほうが大事ですよね。ビジネスには法律が絡むことも多いですから、そういう学習も必要です。あとは、会計とか。多くの場合、英語はその次あたりにくる項目でしょう。
だから、月に1万円もかけたくないというのは、当然の結果に思えてならないのです。
1万円あったら違うことに使いたい人も多い
手取りの月収が25万円とすると、月1万円の出費は4%にあたります。それだけの出費を毎月となると、抵抗を感じるのは当然です。
月に1万円余分にあったら、将来のために貯金したいと思う人も多いでしょう。あるいは、今よりもちょっといい所に住むという選択もできるでしょうし。趣味がある人は、趣味にもお金を使いたいですよね。
英語に対してよほど意識が高い人を除いては、1万円の壁は高いと思うのです。
そもそも「英会話」という表現が疑問です
この記事でちょっと疑問なのが、「英会話学習」と表現を使っているところです。
英語は会話だけではありません。外国語というと会話だけと思う人は、何なのでしょうか。少なくとも、あまり外国語と縁が無い人なのではないかと思うのです。
実際のビジネスシーンでは、会話よりも英語を読む能力のほうが求められるはずです。少なくとも、使用機会としては、会話より読む機会の方が圧倒的に多いはずです。
海外の動向をチェックするにしても、海外から輸入した機械のマニュアルを読むにしても、必要なのは読解力です。こういう能力は、誰もが持っていて不自由しないものでしょう。
逆に、英語で会話が必要になる環境にいる人なんて、ほんの一部です。例えば、職場や取引先に外国人がいて、英語でのコミュニケーションを迫られる機会なんて、それほど多くはないでしょう。
こういう事実を無視して、英語といえば英会話というような風潮は、どうも腑に落ちません。英語に関する調査をしているのに、意識が低い人が調査しているのかなあという感じがしてしまいます。
@DIMEって大丈夫なのか?
ところで、@DIMEって、どんな媒体なのでしょうか?ちぇんとした編集がいるのかなあ。記事として酷いんだけど。
一応Yahoo!ニュースが採用しているのだから、それなりの信頼度はあると思いたいのですけどね。こんな短い記事の中にも、いくつか気になる点があります。
どういう意図で「ビジネスマン」という語を使っているのだろう
表現で気になるのが、記事のタイトルの「ビジネスマン」という言い方です。最近はビジネスパーソンの方が主流になっているはずですよね。
何かの主張があって、ビジネスマンとしているのなら、それはそれで問題は無いでしょう。別に言葉狩りをするつもりはありません。
でも、記者の意識や知識の低さが原因で、ビジネスパーソンという表現が出てこないのだとしたらがっかりです。少なくとも三分の一くらいは調査対象に女性が入っていますからビジネスパーソンを使っておいたほうがしっくりくる気はします。
ちなみに、記事の調査概要にはビジネスパーソンという単語を使っています。タイトルだけ意図的にビジネスマンにしたのかな?そうする意図がわかりませんけど。
金額だけ出して期間を出さないのは記事として失格だと思う
タイトルでもう一つ気になるのが、どのくらいの期間で1万円なのか書かれていない点です。
しばらく記事を読んでも、生涯なのか年額なのか月額なのかすらわからないのです。読み手としてはとてもイライラしました。
さすがに年1万円以下が9割ということはないとしても、1週間に1万円ならありえますよね。マンツーマンでそれなりの頻度で習っうことを想定すれば、そのくらいはかかってもおかしくはありません。
ちなみにこの調査自体はバリューコマースが行っています。そこではちゃんと月額として聞いています。グラフには「月額費用」と明記されているのです。ですから、記事にする段階で、@DIMEが勝手に落としたと推察されます。あるいは、途中から月額と書いているからよしとしたです。なんにしても、記事としての質がどうなのかはちょっと疑問です。
もちろん、文章を書いていると、月額とか年額といった情報はうっかり落としてしまうこともあります。でも、チェックする人がいれば、確認できるはずなんですよね。
ということは、チェックする人の能力に問題がるのかもしれませんね。あるいは、チェックが存在しない可能性すらあります。何にしても、信頼していいのか不安になりますね。
英語の必要性はそこまで高いのか?
もう一つ気になるのが、次の記述です。
昨今のビジネスシーンにおける英語の必需性と乖離する回答が得られた
この記述は本当なのでしょうか?何でこんな断定ができるのでしょうか?
ビジネスシーンで英語が必要な人がいるのは事実でしょう。でも、そんな人は、ほんの一部ですよね。楽天やらファーストリテイリングやらのニュースを聞いて、イメージで書いているのでしょう。一部で起きている変化を、記者が勝手に全体像だととらえているとしか思えません。
そもそも、因果関係が逆の可能性すらあるんですよね。英語の学習の必要性が無いからお金をかける気にならないとも考えられるわけです。
根拠の無い断定をされても、読み手としては困ってしまいます。断定をするなら、それなりの証拠を示してもらわないといけません。
あるいは、英語が必要なのに勉強しない若手社員というイメージを、記者が作り上げたいのでしょうか。なんともがっかりな記事でした。
補足:この雑誌は、小学館が出しているんですね。小学館でこのレベルか。そりゃ雑誌も売れんよ。
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