2012年の衆院選に関して、次のような記事を見つけました。
■ 橋下氏「国民全員英語ペラペラに」…維新劣勢も銀座に大勢の聴衆
選挙向けのリップサービス的な発言なのでしょう。それにしても、ちょっと酷い発言ではないかと思います。正直に言って、こういう発言を聞くと、イラッとします。
1兆円でできるならとっくにやっているって
橋下氏が言う英語ペラペラがどの程度のレベルなのかはわかりません。一応「日常会話をできるようにしたい」と言う事を言っているようですが、日常会話レベルと言ってもかなり幅があります。天気の話も日常会話なら、政治経済やスポーツの話題だって日常会話でしょう。「日常会話」と言う単語を説明なく持ち出す時点で、思いつきで発言しているようにしか思えません。
それでもペラペラと言うからには、最低でも英語圏の国に一人で旅行できる程度の英語力は想定していいのでしょう。その程度の事ができないのなら、さすがにペラペラとは言えないですよね。
そんなレベルに国民全員を引上げるなんて、どう考えたって荒唐無稽な話です。3割の人をそのレベルにするのだって、無理でしょう。何か具体策は持っているのでしょうか。「1兆円をかけて…」と発言しているようですが、その程度のお金で解決できるのなら、とっくに誰かがやっているような気がします。国民一人当たり1万円で、何ができると思っているのでしょうか?
ところで最近イタリア人に聞いた話ですが、平均的なイタリア人の英語力はそれ程高くないそうです。彼は「日本人と同じくらい」と言っていました。文法的にも語彙的にも英語に近いイタリアですら、全員が全員英語を話せるわけではななさそうです。英語にかなり近い言語であるフランス語圏の人も、英語は必ずしも得意ではないようですしね。イタリアやフランスですら無理なのに、日本人にそれができると思う方がどうかしています。
幼稚園児でも英語が話せる…はぁ?
もう一つうんざりしたのが次の発言です。
「アメリカに行けば幼稚園児でも英語をしゃべれる。」
これもどこかで聞いたような話ですが、全く同意できません。というのも、中南米からアメリカに移住した人の多くは、英語が話せないまま一生を終えるのだそうです。つまりアメリカで生活していても、2世3世にならないと英語習得は難しいのです。また、英語圏の国に留学経験がある人でも、英語がそれ程上手ではない人は少なくありません。アメリカに行けば英語が話せるなんて単純な話では全くないのです。
言語を操るのが簡単な事であるかのようなこういう発言は、はっきり言って大嫌いです。
国際競争力を高めるために平均的な英語力をあげようという方向性自体は否定しません。でも、国民全員が英語を話せるようになるなんていうのは、はっきり言って幻想です。それをやるのなら、学校の授業を英語にするとか、NHKは全て英語放送にするなどの、かなり過激な方法を取るしかないでしょう。でもそんなことをしたら、国民の日本語力が著しく落ちることは覚悟しないといけません。そこまでする覚悟がないのなら、いい加減な事は言わないで欲しいものです。
選挙向けのリップサービスである事を差し引いても、そうとうイラッとする発言です。
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